ジナビア社会主義共和国連邦 副官
26ab1a186a
2024/09/19 (木) 22:36:19
モルトラヴィスから戻った彼女は、とある場所に来ていた。
「あれからもう1年半か…」
あの戦争の日々がまるで嘘のように思えてくるほど静かなその場所には、数多くの人々の眠り場所を示す石達がただひたすら雨に打たれている。
ここに眠る人たちは、全員…
やがて、彼女は何百とある石のうちの一つにたどり着いた。
そして彼女の視界に入ったのは…“クラウス・アンドラーデ”。
「全部、終わったよ」
墓石の前に立ち尽くしながら、彼女はそう言った。
「戦いは終わった。共産主義も。でも、これが君のやりたかった事なのかは、私にはもうわからない。君は、もういないから。」
「どうなんだろう。君は、喜んでいるのかな」
問いかけても、あたりに響くのはやけに物静かな雨音だけで、返事が聞こえることはなかった。でも、彼は答えてくれた気がした。
「…じゃあ、そろそろ行くね」
冷たい墓石に花とウォッカを備え、また来ることを固く誓って彼女はその場を後にした。
『…そうか、終わったんだね。ありがとう。これで、何の心配も、後悔もなく…』
通報 ...