北台湾収容キャンプ。
リバティニア軍が建造した捕虜を収容しておくための施設と言われている…が、
裏では収容、監禁、拘束、果ては拷問までされていると言われている、いわくつきの施設である。
そんな何があるかわからないところに、チェコ軍の空挺連隊は移動していた。
無論、収容されるためではなく防衛のためである。
装輪式の装甲兵員輸送車を先頭に、
簡易装甲板が取り付けてあるトラックや重機関銃を積んだ輸送車に士官用車、
果ては戦闘ヘリを運搬しているトレーラーなどで構成された中規模な車列がキャンプ内に入っていく。
兵力はざっと1個中隊ほどだろうか。
そのまま、車列はキャンプ内にあらかじめ作られている駐車場へと向かっていった。
…駐車後、赤いベレーを被っている空挺連隊の歩兵たちは続々と展開していく。
重機関銃を運ぶ兵士や土嚢を運ぶ兵士など、野戦陣地を建造するような顔ぶれだ。
そんな中、人込みに紛れて狙撃銃を携帯した比較的軽装の兵士と短機関銃を携行した同じく軽装の兵士がいる…
ライラ・ニーニコスキとセラフィーナ・アウヴィネン、狙撃兵と観測手である。
そして、無論彼女らがいるということはハンネス大佐もいるということで、
キャンプ警備部隊の隊長らしき人物と盛んに話し合っていた。
「北台湾にはこんな場所があったんだな。
扱いとかはどうなってるんだ?
「ええ。前の事変で結構な人数を捕虜にしていますからね…。
扱いについては
「やっぱり超大国は違うんだな…。うちも見習いたいもんだ。」
…少しの間他の部隊と共に歩いていると、目の前にちょっとした施設が出てきた。
外壁には「camp.β NO.X」と非常に分かりやすく書かれている。
「お、ここがキャンプ・ベータか。 結構小さいな…」
「いえ、そこはキャンプ・チャーリーです。」
「え? 「キャンプ・ベータ」って書いてあるが…」
「ただの偽装工作ですよ。もちろん、内部は要塞化されてます。
工事してて内部は危険だから、入らないほうがいいですよ。」
「ああ、分かった。 こっちは工事を手伝えないのか?」
「すみませんが、諸々の事情で内部には入れないんですよ…
あなたたちは施設の外側を要塞化してください。
…あ、重機関銃と土嚢は我々が使わせて頂きます。」
「そうなのか… まあ、内部はあんたたちに任せてこっちは外側を要塞化しとく。
塹壕とかほっときゃいいんだろ?」
「ええ。 よろしくお願いします。」
その指揮官らしき男はそのまま施設内部に入っていくと、
彼は真っ先に指令室へと歩いていった…
「…と言うわけで諸君。
今回の任務はこのキャンプ内部を要塞化、
PMCどもによる月夜仁の救出を止めることだ。
わざわざあいつを救出しに来るなんて凄まじく迷惑な話だが、
そんなこと気にせずに盛大に撃ちまくれ。 1人たりとも逃がすなよ。」
…話から察するにどうやらこの男、かなりの演技派のようだ…。
指揮官殿の雰囲気がなんか好きなので人物に増やしました()