エミリー「って訳で今回では演習は私がシナノの代わりに相手になるよ」
リュドミラ「……」
フイ「……」
アガーフィヤ「……」
ヨハンネス「……」
イェルド「……」
エミリー「そうそう、自己紹介がまだだったね。私はアラード・アレクサンドラ・エミリー。利陸軍退役中将。会うのは1ヶ月ぶりくらいかな?」
アガーフィヤ「…本当にエミリー氏が対戦相手なんですか?」
エミリー「残念ながら本当。だけど私はシナノより全然弱いし、彼女みたいに電流とか操れるわけじゃないから、正直どうにかなると思うよ」
アガーフィヤ「ですが…」
エミリー「まぁそしたら負けたでまた戦術を改良すればいい、それに君達ヴァルハラ小隊ならそこら辺のエーギルくらい簡単に倒せるだろう?」
リュドミラ「…」
エミリー「私の事についてはとっくにシナノから聞いていると思うけど一応証拠を見せておこうか」
ガサッ
エミリー「正確には爬虫類に部類されるのかな…?見ての通り、私は人間じゃない。この尻尾や腕だって勿論玩具とか特殊メイクとかでもない本物だ」
一同「……」
カチャ
エミリー「もっと色々見せられるけど見る?」
リュドミラ「いえ…結構です」
エミリー「あ、そう」
エミリー「それじゃ、今回の演習について説明するよ。開始は3時間後。今回の演習では、私以外は全員実弾、ナイフやグレネードも全て本物を使ってもらう。演習弾なんてもん使ったらすぐ張り倒すからね」
一同「……」
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リュドミラ「…あのひ……ゴホンッ外務宰相閣下が自称化け物を連れてくるなんて、世界は広いものね」
フイ「外務宰相閣下はこういう時は冗談言いませんよ」
ヨハンネス「そこら辺のエーギルくらい倒せるだろ…って外務宰相からなんて言われたんだよ…俺ら外務宰相以外知らないんだよ……」
アガーフィヤ「居たら最高機密でしょ」
リュドミラ「はぁ…バスク紛争で英雄になって退職金貰って暮らそうと思ったのに……。何回訓練で遺書を書かないといけないの…」
フイ「隊長、まずは作戦を立てなければ始まりません。エミリー氏は…我々から見れば普通に化け物です」
リュドミラ「如何にして削るかってところでしょうね。演習場は山がちな地形だから、隠密性が活かしやすいし近接特化と思われるエミリー氏には狙撃手が脅威になる可能性がある」
リュドミラ「フイ、あなた対物ライフル使えたよね」
フイ「一応Amr-20は使えます」
リュドミラ「上出来ね。20mmならそれなりに削れるんじゃないかしら」
アガーフィヤ「バリアみたいなのってないんですかね、外務宰相は遠距離無効化みたいなもんだったし」
リュドミラ「さあね、そこは戦ってみて…かな」
リュドミラ「ヨハンネス、ドローンでの偵察は任せた。エミリー氏がどんな能力を隠し持ってるかなんて想像つかないから気をつけて」
ヨハンネス「了解」
リュドミラ「アガーフィヤは設置物を使って妨害、エミリー氏の動きを止めて」
アガーフィヤ「了解ぃ〜♪」
リュドミラ「…あとは私とフイで狙撃、いざとなれば私も中距離戦に加わる。イェルドに指揮は任せた」
イェルド&フイ「了解」
ヨハンネス《ターゲットが歩いて移動を開始》
イェルド「了解、隊長と副隊長は狙撃で攻撃、ヨハンネスはそのままドローンで偵察」
フイ《わかった》
バンッ!
グチャ…
エミリー「……あら」
ヨハンネス《ヒット、肩が吹き飛んだ》
リュドミラ《やっぱり、外務宰相閣下みたいなバリアは無いみたいね》
エミリー「……」
ヨハンネス《…、ターゲットが物陰に隠れた。今ドローンを移動させる》
リュドミラ《わかった》
ヨハンネス《クソ…どこに行った…?》
タッタッタッ…
ヨハンネス「!」
カチャ
エミリー「君は…ヨハンネス君か」
ヨハンネス「……」
パンッ!パンッ!パンッ!
ポタ…ポタ…
エミリー「イテテ…頭が…」
ガッ
ヨハンネス「ガハッ!」
エミリー「惜しかったね。もう少し左側だったら脳幹を撃ち抜けてたのに」
ヨハンネス「化け物め…」
エミリー「……面白いドローンだね。少し借りとくよ」
ゴッ
昔のやつ見返したらリュドミラさんをリュドミアと書いてました。スンマソン
イェルド「ヨハンネスがやられた」
リュドミラ《そう、フイ。射撃地点を移動して》
フイ《了解》
イェルド「アガーフィヤ、目標が副隊長の方向に行ってる可能性がある。対応できるか?」
アガーフィヤ《やるだけやってみる。副隊長が射撃地点に移動して射撃体制を整えるまでは稼いでみせるよ》
フイ《頼んだ》
ーーーーー
エミリー「……」
キュイ
エミリー「!」
バン!バン!
ピー!
ドンッ!
アガーフィヤ「……大成功」
カチャッ
アガーフィヤ「お手製対人地雷の」
エミリー「イタタタ…、」
アガーフィヤ「…こりゃ驚いた。腕と足ふっ飛ばしたのにまだ動くなんて」
エミリー「化け物だって言ったでしょ」
パン!
アガーフィヤ「……」
バン!バン!バン!
グサッ
アガーフィヤ「…ふぅ」
アガーフィヤ「こちらアガーフィヤ、対象の無力化に」
ドンッ
ドサッ
アガーフィヤ「…ッチ。飛んだ化け物だな」
エミリー「油断は禁物だ」
バキッ
アガーフィヤ「痛っ!?」
エミリー「君の弱点は油断だろう。…ドローンがなければちょっと危なかったかもね」
アガーフィヤお手製対人地雷
足元の紐に引っかかると、地雷が飛び上がり空中で破裂し〈粉砕☆〉するもの。ちょっと大きな空き缶にナットと少々の爆薬を詰めて完成。あとは土に埋めて辺りに紐を括り付けるだけ。
現実でいうSマインやクレイモアの廉価版に近い。
戦況報告
ヨハンネスくんは無事気絶。
アガーフィヤさんは無事腕の骨をポッキリしてリタイア。
イェルドくんは場外から指揮で戦闘には不参加
フイさん、リュドミラさんは無事です
ちなみに、ヨハンネスとイェルドは民間人。アガーフィヤとフイ、リュドミラは軍人です。
リュドミラ「…ったく、外務宰相閣下は何でトカゲなんかと友人なのよ…、」
フイ《配置についた。指示を》
リュドミラ「フイ、あれに近接戦で勝てると思う?」
フイ《…あそこからどれくらい離れてると思ってんだ…》
リュドミラ「…どうしたの?」
フイ《対象、こちらを目視してます》
リュドミラ「今更もう驚かないよ…驚くことがいっぱいありすぎてね」
フイ《先程の質問ですが、…正直言って二人がかりでも厳しいでしょう》
リュドミラ「近接戦は苦手なんだけどね」
フイ《私が囮になります、標的が今攻撃せんとしているのは私ですから私が潰れるまで時間の問題でしょう》
リュドミラ「最初の訓練を思い出すわ…、了解。あまり期待しないで頂戴」
フイ《了解》
リュドミラ「先にドローンを蹴散らすか…」