1時間ほどの移動の後、半装機式オートバイはようやく軍駐屯地へたどり着いた。
「ああ、体が痛い… もっと動かしときゃ良かった…」
「そんな事いまさら言っても無駄ですよ、大佐…。」
敷地内には歩兵戦闘車や兵員輸送車が駐車していた。
整備中の物からカモフラージュがつけっぱなしのものまで、様々な物が雑多に並んでいる。
とてもこんなところに特殊部隊の本部があるとは思えないが、きっと地下とかその辺にあるのだろう。
…数分後。 彼女の考えは、その辺の司令部と大差ない部屋で木っ端みじんに打ち砕かれた。
「…ここは本当に司令部なのか? うちの司令部よりもずっと小さいぞ…」
「司令部ですよ。 そのために必要なものはすべてそろってますし。
えーと… 無線機、地図、弾薬箱、国旗、炊事用具一式。」
…なんか最後、変なものが混じってなかったか?
とりあえず、そんなことは考えないことにして話を進める。
「一応普通の司令部と大差ないんですね。 独立部隊って感じですか?」
「独立してませんけど」
「…え?」
「この部隊は第11自動車歩兵連隊所属です。
いつもこの部隊と一緒に行動するんですよ。」
…いったい創設者は何を考えているのだろうか。
特殊部隊が通常部隊所属でいいのか。
そもそもなんで特殊部隊なのに扱いがここまでひどいのか。
疑問は尽きないが、やはりそんなことは考えないことにして話を進める。
「そ、そうなのか… 結構特殊な編成なんだな。」
「エミリーさん、なんか顔が引きつってません?
気のせいですかね?」
「気のせいだ、気のせい…」
どうこの部隊をフォローしようかと考えているとき、
突然ドアを開けて1人の男がとんでもないスピードで部屋に駆けこんできた。
「き…緊急連絡です、大佐」
「なんだ、そんなに急いで。 なんかあったのか」
「つ… 月夜仁が、北台湾に現れたとか」
「なんだ、月夜仁か… 月夜仁!? あの狐が!?」
「情報は確かか!?」
「ああ、北台湾からの連絡だ!
空港職員からの密告らしい!
台北市内のホテルにいるとのことだ、うちの空挺部隊を急行させろ!」
「勝てるとは思えませんが…」
「知るか! とにかく、特殊部隊の到着まで時間を稼げ!
畜生… 不法入国だぞ!? 明らかに個人の行動を超えてる!」
「向こうに連絡しますか?
さすがに何らかの処分を加えなければいいはずだし…」
「そんなことはどうでもいい! とにかくターゲットの確保を優先しろ!」
「了解しました。どの部隊を派遣しますか?」
「本国の第3特殊空挺連隊を派遣してもらう。
唯一の台湾駐屯空挺部隊だからな…」
「しかし… いくら不法入国でも、さすがに殺すのは…」
「誰が悲しもうが知ったこっちゃない。
自己責任だ、自己責任。」
「はあ…」
いいぞやっちまえ〜
チェコ軍大活躍ですね()