ーーー火の粉ーーー
彼が演説台に上がる。
階段を1つ登るたびに心の高揚が高まる。
この感覚は初めてではなかったが、今回は特別だった。
登りきると同時にその景色は圧巻であった。
見える限りに人々がこの国の新しい主の顔を一目見ようと集まっている。
そして、見える限り広がる人の海を一通り見渡すと彼は高鳴る心を抑えながら声をだす。
「親愛なる国民の皆さん、こんにちは。」
そう、彼が言うと、続けて話す。
人々の様々な視線を受けながら。
彼は視線達を見ていく。
喜びの目、残念な目、好機の目、嫉妬の目
視線達を見ていく、そして、ある視線に気がついた。
必殺の目
彼はその視線に気付いた瞬間、背筋が凍りついた。
そして、その視線の持ち主はゆっくりと銃口をこちらに向けてーーーパンッ!!
「ぁっ」
肩に強い衝撃を受ける、そのまま彼は後ろに倒れてゆく、演説台から落ちる、それはまるでこの先の運命のようだ。
通報 ...