キリシロ(スカーレット連邦)
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2024/03/12 (火) 09:50:24
それは、バスを待っているときだった
♪~
変わった着信音が鳴る。
どこかで聞いたことのある音楽だ。
どうやら、隣のベンチに座っている女の携帯のようだ。
女はすぐに携帯を取り出した
「もしもし?もしもし…」
いたずら電話か、はたまた通信状態が悪いか何度も呼びかけたが…
ピッ
女は電話を切った。
このぐらいだったら、なにもおかしくない。
おれはなにも思うことなく、バスが来るのを待つ。
しかし、すぐに
♪~
着信音が鳴る。
女は電話にでる。
「もしもし?もしもし…」
そして切る。
ピッ
おれは3回目に気づく。
音色が、動作が、声質が
同じなことに。
気付くと、おれは底知れない恐怖を感じていた。
嫌な汗が頬を伝る。
なぜ、この女は同じ動作を何度も繰り返すことができるのか。
どうして、一挙手一投足同じ動作なのか。
わからない。
人間は、えたいのしれないものを目の当たりにすると、恐怖に染まるというのを聞いたことがある。
おれは今、恐怖であたまを染められてしまった。
♪~
「もしもし?もしもし…」
ピッ
何回も何回も繰り返している。
そのたびに、恐怖がおれのあたまを最後まで染め上げんとしてくる。
しばらくすると、おれは限界になっていた。
だが、ちょうどそのとき待っていたバスがきた。
おれは、決してこっちに興味が向かないようにゆっくりと立ち上がり、そそくさとバスに乗り込む。
乗る際に先の女も乗り込んできたが、そのあとはなにも起きなかった…
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