法介
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2024/11/27 (水) 13:16:56
安澄の『中論疏記』における上記の文章は、龍樹の『中論』に対する解説の一部であり、「大小二空」(大乗と小乗の二つの空の違い)や「大空」の意味について詳しく議論しています。以下は文章の概要と現代語訳の試みです。
概要
この部分は、「大空」という概念について、声聞(小乗)と菩薩(大乗)の間での空の解釈の違いを明らかにしています。また、『大空経』や『摩訶衍経』などの経典を引用して、それぞれの立場から見た「大空」と「小空」の定義を説明しています。さらに、法空(物事の本質的な空)を声聞と菩薩がどのように理解するかについて解説し、それが大乗仏教の独自性にどう関わるかを論じています。
現代語訳(部分的)
「大小二空」とは、『智度論』で説かれている大小乗の空の解釈を指す。
『智度論』第31巻には次のように記されている:
「大空とは、声聞の教えにおいて法空(物事が本質的に空であること)を大空と呼ぶ。また、誰かが『これは老死だ』または『これは人の老死だ』と言うとき、この二つの見解は共に誤りである。『これは人の老死である』とする見解は、衆生(人間)の空性を表し、『これは老死である』とする見解は、法の空性を表している」。
ここで、摩訶衍(大乗)の経典が「十方の空」を大空として述べる理由について以下の説明がある:
- 東方が無限であるため、それを「大」とする。
- 一切の場所に及ぶため「大」とする。
- あらゆる色(物体)を含むため「大」とする。
- 常に存在するため「大」とする。
- この空を理解することで衆生が迷いを離れることを助けるため、「大」とする。
重要なポイント
大空と小空の区別
- 声聞(小乗)は法空を「大空」とするが、大乗ではさらに広い範囲で空を捉えています。
- 小乗では、縁起による因果関係を基にした法の空性(現象の無常)を主張しますが、大乗では「本来空」(自性空)を重視します。
経典の引用
- 『大空経』では「十二因縁」の空を「大空」としていますが、それをさらに菩薩の視点で深めていくのが大乗の特徴です。
- 『摩訶衍経』では十方(東西南北上下すべての空間)を大空とし、その無限性を強調しています。
大小の空の哲学的意味
- 小乗は折法明空(現象を分析して空を理解する)を行いますが、大乗は自性の本質的な空(本来空)を説きます。
- 大乗では、空と不空(空でありながらも現象として顕現すること)の両方を包括する考え方を提示します。
結論
この注釈は、『中論』や関連経典を用いて「空」の教えを多面的に分析し、特に声聞(小乗)と菩薩(大乗)のアプローチの違いを浮き彫りにしています。「大空」の概念を通じて、大乗仏教の哲学的な深さと声聞との比較が詳述されています。
このような議論を深めるには、原文と注釈を正確に読み解く仏教学の専門知識が重要です。もしさらに詳細な分析が必要であれば、追加の資料を提示することも可能です!
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