仏が覚りえたただ一つの真理を衆生に知らしめんが為に仏は世に出現します。
それを「一大事の因縁」と言います。
よく大変な出来事を〝一大事〟と言いますが、実はここからきているんです。『法華経』の方便品第二の中に次のようなくだりがあります。
諸仏世尊。欲令衆生。開仏知見。使得清浄故。出現於世。欲示衆生。仏知見故。出現於世。欲令衆生。悟仏知見故。出現於世。欲令衆生。入仏知見道故。出現於世。舎利弗。是為諸仏。唯以一大事因縁故。出現於世。
【現代語訳】
諸仏世尊は、衆生をして仏知見を開かしめ清浄なることを得せしめんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして仏知見を示さんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして仏知見を悟らせめんと欲するが故に、世に出現したもう。衆生をして仏知見の道に入らしめんと欲するが故に、世に出現したもう。舎利弗、是れを諸仏は唯一大事因縁を以ての故に世に出現したもうとなづく。
仏はこの四つの仏知見を〝因〟として世に出現します。
これを開示悟入の四仏知見と言います。
仏が覚りえた究極の真理を衆生に対して三乗に開いて説き示し、その内容を悟らせてその境地へ入らせる事を一大事の因として縁起を起こして仏は世に出現します。
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