みんポケ！

「…チッ」

シャンてぇあはS市に向かう社有車の中で命令書を乱暴にカバンにしまいながら大きく舌打ちをした

「臨機応変とか言うくせにろくな装備も与えないんだな本部の連中は　A型をよこせっての」

[まぁまぁ、シャンてぇあさんは一般B型業の社員なんだからしょうがないじゃないですか]

通信機でつながっているラルトス神がなだめる。

「そんな俺にこういう出動を任せるのが気に食わないんだよ！」

嫌いな上司に言い渡された休日出勤は彼をいらだたせるのにあまりにも十分だった

よくわからないけどSCP財団の話？

たばこの煙が充満した車は2時間ほどで廃工場に到着した

[ここはイタリアの製作所であるケイポン社が、日本人労働者の平均人件費が今の1/5ほどだったころに家電を生産していた廃工場です]

[10年前に日本進出事業を断念した時から使われていません]

ラルトス神が資料を読み上げる

「ふーん、ケイポン社ねー」

シャンてぇあは妙な突っかかりを覚える

「10年前のものにしちゃ大分きれいだな」

[きっとちょっと前の豪雨が汚れを流してくれたんですよ]

資料に書かれてないことを質問したって適当な返事しか返ってこないことをシャンてぇあは学んだ

支給された防弾チョッキとブーツ、ヘルメットを着用しながらシャンてぇあはまた愚痴る

「ったく…俺はもともとうちの会社のこういうけち臭いところが嫌いなんだよ…立派な兵器なのに『人型電気製品』とか言って批判を免れようとするところがよぉ」

[やけになって自虐的な批判をする前にしっかりグローブも着用してくださいね]

ノイズ交じりの鼻にかかった声はこの会話が録音され、この任務後に本部に送信されることをシャンてぇあに思い出させた

おとなしく合成繊維でできた手袋を右手にはめかけた瞬間

ゴォォォ…

「今の音は？！」

[工場内部からですね、進んでみますか]

「おい！何とかロボットを回収するだけでいいんだよな？」

[上からはそう命令されていますが…原則として社員の生命、身体の無事が優先されますので」

「逃げてもいいのか？」

[対象を破壊しても構いません]

「……くそったれだな」

シャンてぇあはナイフを太もものケースに入れて工場内に足を踏み入れる

キャラ名のせいで笑いがとまりませんぞｗ

機械音とガソリンの臭いでひどい頭痛がする

シャンてぇあはヘルメットを外し、持参したガスマスクをつけた

[ヘルメットを外しましたか？]

「ああ、ガスマスクをつけるのに邪魔なんだ　お前にはわからないだろうがマジで臭いし変なガス吸っても嫌だからな　一般B型の俺には支給されないガスマスクを自腹で買っておいたんだよ」

[…今度の会議で一般B型キットの見直しを検討しておきますよ]

気が遠くなるほど広い工場を音の鳴るほうに歩いていく

ベルトコンベアや何に使われるかわからないようなクレーンが規則的に立ち並び、方向感覚を狂わせる

何も動いていない工場内で唯一聞こえる人型兵器の音だけがシャンてぇあの正気を保っていた

「やっぱりおかしくないか？」

シャンてぇあは問いかける

「工場内の機械はほとんどが錆びだらけで動きそうにないが、一列だけいまにも動きそうなコンベアがあったり、カゴに真新しいねじみたいな部品が入ってたり、それにさっきまでは気づかなかったが聞こえる音の種類が複数あるんだよ」

一呼吸おいてラルトス神が尋ねる

[つまり何が言いたいのです？]

「この工場はまだ動いてるんじゃないのか？」

[それはあり得ません、ここにある鉄はすべて10年前からただ酸化するのを待っているだけですから]

「じゃあこの現象をお前はどう説明するんだ？明らかに異常だ、俺にはこの工場を使って何かを作っている奴がいるとしか思えないがね」

[…もしかすると我々が回収しようとしているものはわが社のものではなくケイポン社が秘密裏に開発しているパチモンかもしれませんね]

「どちらにせよただ回収するだけで済むといいんだがな　さあ、どうやらここのようだな」

シャンてぇあは様々な機械音が鳴る部屋の前に立ちドアノブに手をかけた

いったん区切るのでここまで読んで指摘する部分とか矛盾点とか文句とか批判とかあったら是非教えてほしいです

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